万葉の花とみどり
 ふ ぢ   ふ ぢ  藤

 藤浪の花は盛りになりにけり
      奈良の都を思ほすや君 
 
              大伴四綱 巻三・330

『読み』ふじなみのはなはさかりになりにけり ならのみやこをおもおすやきみ
『歌意』波打つように咲く藤の花が真っ盛りで美しい。この藤のように栄える奈良の都をお思い出しなりませんか。



長いものだと50−60pはあろうかと思われる花房

花が波打つ藤浪
 歌は作者大伴四綱が防人司次官として太宰府に赴任中、奈良の都を想い懐かしんだもの。歌中の「君」は、長官大伴旅人で、上司に問いかけるようなかたちになっています。冒頭の「藤波」ですが、万葉集の藤を詠み込んだ歌二十数首のうちの多くに、この「藤浪」の連語として表現されています。藤浪とは、花房にたくさんの花が波打つように付くのと、樹全体にたくさんの房が群がっている様子を表現したものです。成長が早くツルを巻くように広がるので日除け向きの樹木として親しまれてきました。寿命も長く、樹齢数百年を数えるものもあり、各地の由緒ある寺社の藤には観光名物化しているところも少なくありません。


管理者『妬持』の声
 藤の蔓の伸びの早いことには、驚いてしまいます。花が終わってちょっと気を抜いていると、いつの間にやらあちこちの植樹に巻き付いて、その木を支配してしまいます。歌の作者は大伴家で、奈良の都で繁栄を謳歌する藤原氏に対する嫌味ととれないこともありません。大伴家は、その後も、藤のようにたくましく強固な藤原一族に、散々の目に遭わされることになるのですが…。、


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