万葉の花とみどり
 くくみら 久君美良 茎韮 ニラ
 
 伎波都久の岡のくくみら我摘めど
    籠にも満たなふ背なと摘まさね
                東歌 巻十四 3444

『読み』きわつくのおかのくくみらわれつめど こにもみたなうせなどつまさね
『歌意』伎波都久の岡のニラを私だけで摘んでもなかなか籠に一杯にはなりません…。それではあなたの夫と一緒に摘んだらどうです。



鑑賞にも十分に堪える花


「みら」が訛って「ニラ」に
 ニラは摘んでも摘んでもなかなか一杯にはならないもの…。ならばあなたの「背(旦那様)」に摘んでもらいなさいよと、掛け合い問答が一つの歌となっています。「背」を話題にした問答から菜を摘む女性同士の会話と思われますが、この何気ない日常会話から万葉当時のほのぼのとした様子、人々の生き生きとした情景が目に浮かんでくるようです。
 ニラは匂い強い野菜として古代より食され、『古事記』にも「かみら」として登場します。噛むと強烈なにおいがするというような意でしょうか、噛むニラで確かに「かみら」となります。通説では、「くくみら」は茎が立った「みら」という意味で、現在の「にら」の名は、「かみら」が音として発しやすい「にら」に転じたと考えられているようです。
 ニラはネギと並ぶ和風ハーブの代表です。一本の株は倍々で増えていき、数年後には大量の菜が得られます。栄養豊富で中華料理を始め様々な料理に使われますが、西洋ではあまり食べられていないようでです。夏場に星形の花を多数咲かせますが、大きさが手頃なので、ダイニングでの鑑賞用花としてもなかなか良いものです。また、たくさんの種ができますが、こぼれ種では芽が出にくく、翌年春まで保管してからまくと良いそうです。


管理者『妬持』の声
 ニラと言えば子供の頃、庭先でハンミョウの幼虫を釣るエサに使ったことを思い出します。ハンミョウは、ありの巣に似た穴を作るのですが、晴れた日には頭をちょこんと穴から出しているのですね。そこに、ニラの葉をそっと近づけると、ガブリとくるんです。食いついたところを一気に引き上げると虫が釣れるというものでした。庭先での「ニラ」についての思い出です。


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