万葉の花とみどり
 おもひぐさ   思草  おもひぐさ
 
 道の辺の尾花が下の思ひ草
     今さらさらに何をか思はむ
                大伴家持 巻四 七七三

『読 み』みちのへのおばながしたのおもいぐさ いまさらさらになにをかおもわむ
                   おおとものやかもち
『歌 意』道端のススキの下に生えている思い草のように、私は今さら何を思い悩むことがあるでしょうか。



草陰に隠れるようにして咲く

物思う草
 思い草は、万葉集以降の作品にも、ナンバンギセルの他、リンドウやススキ、ツユクサ、オミナエシ等としても詠み込まれています。ただ、植物を歌の持つ情景に当てはめているので、植物学的にどの花を指すものかを断定するのは難しいようです。現在は、万葉集の歌に限れば、ススキの根に寄生するナンバンギセルが定説となっています。確かに歌にあるように尾花(ススキ)の下に繁殖することが多く、花もうつむきかげんに咲くのでなるほど「思い草」のイメージに合致するようです。

管理者者『妬持』の声

 ススキも「おばな」として万葉植物に名を連ねてはいますが、その株元に寄生して、しっかり栄養を得ているとは。植物生態的には珍しいことではないのですが、実に面白い植物があるものです。その花先を伸ばして咲く姿は、どことなく哺乳類…馬とか犬などを連想させるものです。


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