万葉の花とみどり
やまたちばな  山橘  ヤブコウジ
この雪の消残る時にいざ行かな 山橘の実の照るも見む
大伴家持 巻十九 4226 
『読み』このゆきのけのこるときにいざゆかな やまたちばなのみのてるもみむ
『歌意』(雪溶けが始まり)まだ雪が少し残っている頃にでかけよう。山橘の実が(雪の白)照り映えているのを見るために。
厳冬期雑木林:赤い実が光に照らされて美しい。
冬の間も赤い実を付ける
 
やまたちばなはヤブコウジ科ヤブコウジのことで、低木の常緑樹。やはり同じ時期に赤い実を付けるセンリョウ、マンリョウに比して20−30p程度とあまりに小さいので、ジュウリョウ(十両)と呼ぶ向きもある。雑草と見間違えられることも多いが、草の枯れる冬場なら比較的見つけやすい。夏に小さな白花が秋には赤い実となり、冬の間もずっと実を付けているので緑葉とのコントラストが美しく、盆栽としても好まれる。歌は赤い実が白い雪に照り映える様子を詠み込んだものである。家持はもう一首、やはり色や光のコントラストを強調した歌を残している。
消残りの雪にあへ照る足引きの 山橘を苞に摘み来な
大伴家持 巻二十 4471 
<やまたちばな>を詠んだ歌
あしひきの山橘の色に出でよ 語らひ継ぎて逢ふこともあらむ
春日王 巻四 669 
あしひきの山橘の色に出でて 吾は恋ひなむ人目かたみすな
作者不詳 巻十一 2767 
紫の糸をそわが搓る足引きの 山橘を貫かむと思ひて
作者不詳 巻七 1340 
消残りの雪の白に赤い実と葉の緑が照り映える
晴れた日のヤブコウジ、小さな赤い実が輝く。
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